BAD END
ただの個人の掃き溜めです。
「城のなかの人」の話。

星新一さんの「城のなかの人」。

随分昔、もう思い出せないくらい昔に読んだ小説でした。
なのに、この本のことを驚く程忘れていて、先日ふとしたきっかけで、
あ、秀頼様の小説ならこれがあったのでは、と思い返して手に取って改めて震えた本。

これをこのカテゴリで書くのもどうかと思うけれども、
今の私にとってはもう同一視で良いかと思うので書きます。



秀頼様が拾から秀頼に名を変えたところから、大坂城と運命を共にするまでを
簡潔に、淡々と、哀愁を込めて書かれた作品。

昔読んだ時も、清涼ささえ感じる読後感に圧倒されたけれども、
今、秀頼様を語るにどんな評論も小説も必要ない、この一冊だけあれば良いと
思える程の完全なる名作でした。

秀頼様視点で進む物語、各章につけられた人物名、大坂城は魔性の城。
秀頼様にとって、豊臣とは、大坂城とは何か、自分の中でもやもやしていたものが
すとんと腑に落ちた感じがする。これを読んだらもう他の解釈が出来ないくらい。

秀頼様の心境は、400年前の秀頼様ご本人にしか分かる筈もないのに、
これが秀頼様にとっての唯一無二の真実だったのだと思ってしまっても良い。
ただこれは、そうであったら幾らか安らかになるだろうと言う願望でしかない。

星新一さんは天才だってことは小学生の頃、貪る様に星さんの小説を読んだ頃から
知っていたけれども、何十年の時を経て今再びの感動を与えて下さいました。

悲しい結末なのに、名残惜しくない。
淡白に思える可能性もあるのに、満足してしまう。
秀次の一件、城の人達の思惑、旗印を見る目等あったのに、
城の堀を埋められるまでこの世の悪意に気付かなかったことは
流石にアリエナイと思うけれど、それを享受しても良いくらい、
それくらいの説得力のある終わり方でした。
秀頼様に唯一の救いを与えられるのはこの結末だけなのかと。





※ここからアニむそ語り注意。


アニむそにおいて、秀頼様が大坂城と運命を共にしたこと。
武士の心の拠り所である城に火を点け、自分と豊臣を葬り、乱世の業を終わらせたこと。
何もかも背負って独りで逝ってしまったこと。
その心境について、ずっと考えていた。

今回の本で、秀次の髑髏、大坂城の堀を埋められた際の涙、
自分は人を殺したことはない、自分の命で人を殺したこともないと言ったこと、
10年早く生まれていたら、と何度も出て来る側近との会話の内容、
美しい世界で育ち、人の悪意を知らずに育ち、何もかもが逆の順番でやって来たこと、
その部分部分が、アニむそでしっくり来過ぎることに気が付いてしまった。
「城のなかの人」は秀頼様の小説だけれども、秀頼ちゃん様に置き換えても、
その通り、そのまま、解釈に違和感がなさ過ぎた。

この小説を読んで秀頼ちゃん様のプロットが出来たんじゃないのと邪推するくらい。
そう、この順番も、本来とは逆の順番で私の前に現れたのかな。
奇妙な偶然なのかな。私の宗教における戯言と思って下すって全く構わないけれども、
この本に出会えて私の中の秀頼ちゃん様が救われた気がした。
有難うございました。
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